ストーリー Story
海外で積み上げた経験が、インドネシアでの新たな挑戦を後押しした
シノケングループが海外へ歩みを進めたのは2006年の中国上海からでした。その後、2015年には1社目の現地子会社であるPT. Shinoken Development Indonesiaを設立してインドネシアに進出。現地での事業基盤づくりを進め、2018年には不動産アセットマネジメントを担う PT. Shinoken Asset Management Indonesia(SAMI)を設立しました。
この積み重ねは次第に実を結び、2019年には外資系企業として初めてインドネシアの REIT 運営ライセンスを取得。2022年以降は大型商業施設のアドバイザリーを任され、2023年には日系企業で初となる投資アドバイザリーライセンスも獲得しました。
こうした歩みが、インドネシアという巨大市場で確かな信頼を築く土台となり、今回の「ジャパンデスク」の立ち上げや、8,000戸規模の都市開発プロジェクトといった新たな挑戦へとつながっています。
H.Uは当時をこう振り返ります。
「インドネシアは、日本企業の関心が非常に高い市場です。そこで私たちは、日系企業が安心して挑戦できる環境をつくりたいと考えてきました。そのためには、日本の知見と現地の専門性を結びつけることが不可欠でした。」
日系企業の“最初の壁”に寄り添う。ジャパンデスク立ち上げの舞台裏
2024年10月、SAMI はインドネシアの大手コンサルティングファーム Moores Rowland Indonesia(以下、MRI)と業務提携し、同社内に日系企業向けのジャパンデスクを共同設立しました。
インドネシアでは、日本とは異なる税務・会計・労務・法務の制度があり、日本から進出する企業にとって、最初にぶつかるのがこの“制度の壁”。ジャパンデスクは、その壁に真正面から向き合い、日本語で専門的な相談ができる体制を実現しました。
とはいえ、その立ち上げは容易ではありませんでした。H.Uは、日本の公認会計士資格を持っていたとはいえ、インドネシア特有の制度を深く理解しなければ日系企業に正確な助言ができない、と強い危機感を抱えていたといいます。
「問い合わせをくださる駐在員の方々は、日本語で安心して話したい。その期待に応えたい一方で、誤った情報は絶対に伝えられません。毎回の打ち合わせが本当に真剣勝負でした。」
コンサルティングファームにいる各専門家の助けも借りながら、税法、会計基準、会社法を学び、MRIの専門家に確認を重ね、着実に対応の幅を広げていきました。
工業団地への訪問も欠かせません。ジャカルタから車で片道3時間。決して楽ではない道のりですが、それでもH.Uは現地へ足を運び続けています。
「現地で挑戦する日系企業のお役に立ちたいという気持ちが原動力です。同じ日本人として、『ここで頑張っているんだ』という想いを共有できるのがうれしいですね。」
ジャパンデスクは、今では日系企業から高い信頼を得る存在へと成長し、海外アドバイザリー事業のさらなる拡充につながっています。
8,000戸の住宅開発。大手デベロッパーとの都市づくりプロジェクト
もう一つの挑戦が、2025年に本格化するジャカルタ郊外での住宅開発「コタ・ポドモロ・テンジョ プロジェクト」です。開発面積は650ヘクタール、東京ドーム約140個分。ここに中間所得層に向けた約8,000戸の住宅街をつくるという、大規模プロジェクトです。
現地の大手デベロッパーであるアグン・ポドモロ社と合弁会社を設立し、シノケンは投資家として参画。SAMI はアドバイザリーとして、現地法人の設立や投資家の招聘などを担いました。
もっとも困難だったのは、大手デベロッパーとの膨大な調整でした。土地価格の交渉に始まり、事業計画、市場動向の読み解き、契約条件の整理、スケジュール管理……どれも簡単には合意に至りません。
しかし、ここで力を発揮したのが、これまで手がけてきたアドバイザリー業務の経験でした。事業開始からわずか3年で累計5,000億円を超える不動産取引に携わってきた実績は、相手が大手であっても堂々と議論できる土台となっていました。
「相手ももちろんプロフェッショナルですが、こちらにも経験がある。変に気負わず、合理的な説明を積み重ねることで、最終的な合意につながったと思います。」
国籍も宗教も異なる人々が、同じ街をつくるという一つの目標に向かって働く。その過程には苦労も喜びもあり、プロジェクトが動き出した瞬間の達成感は何にも代えがたいとH.Uは語ります。
「大きな挑戦をチームで乗り越えた後、一緒にその成功を喜べる瞬間は本当に特別です。国境を越えた仲間ができるのは、この仕事ならではですね。」
日本の知見と現地の力を結び、海外事業をさらに広げていく
ジャパンデスクの設立と住宅開発への参画。一見まったく異なる2つのプロジェクトには、共通する基盤があります。それは、「日本の専門性」と「現地パートナーの力」を結びつける姿勢です。
インドネシアは、2030年にGDP世界4位になるとも言われる国です。その成長を支える都市開発や企業支援に携わることは、シノケングループの海外事業の基盤をより確かなものにしていきます。
H.Uは、今後についてこう語ります。
「海外での挑戦は決して簡単ではありません。ですが、現地の方々と力を合わせ、少しずつ形になっていく過程に大きなやりがいがあります。これからも日本の知見を活かし、インドネシアの未来に貢献していきたいです。」
シノケングループはこれからも、世界の成長市場で存在感を高めながら、海外事業の新たなスタンダードを切り拓いていきます。